夫婦でパースに留学中の私が、日本の薬剤師資格を活かしてオーストラリアで薬剤師登録を目指すまでの道のりをご紹介します。
これまでの記事では、全体の流れを整理した概要編と、OPRA(旧KAPS)試験対策編についてまとめてきました。
今回はその続きとして、実際に受験した英語試験(IELTS / PTE)について、どの試験を選んだのか、どのような対策を行ったのか、そして試験対策にどれくらいの期間をかけたのかを、具体的に紹介します。
英語試験も、OPRA(旧KAPS)試験と同様に高いハードルだと感じる方は多いと思います。
これから英語試験に挑戦される方にとって、少しでも参考になる情報をお届けできれば幸いです。
概要編の記事はこちら↓
OPRA(旧KAPS)試験対策編はこちら↓
この記事がおすすめな人
- オーストラリアで薬剤師として働きたいと考えている方
- IELTS / PTE など、英語試験の具体的な勉強方法を知りたい方
- 経験者視点の信頼できる情報を求めている方
目次
- なぜ英語試験が必要なのか(OPRA 合格後の流れ)
- 英語試験の選択肢(IELTS と PTE の違い)
- 最終的に選んだ英語試験とその理由
- 英語試験対策にかけた期間
- 試験対策で苦労した点・つまずいた点
- 英語試験を終えて感じたこと(正直な感想)
なぜ英語試験が必要なのか(OPRA合格後の流れ)
OPRA(旧KAPS)試験に合格しても、それだけでオーストラリアの薬剤師として登録できるわけではありません。AHPRA に登録するためには、別途、英語能力要件を満たす必要があります。
これは、オーストラリアで薬剤師として AHPRA に登録されるための英語試験の概要になります。オーストラリアでは、AHPRA が認めている 5つの英語試験の中から、いずれかを選択することができます。条件を満たせば、2つの試験結果を合算して提出することも可能です。
選択肢が複数ある分、自分に合った試験を選ぶことが重要になりますが、どの試験も決して簡単ではありません。
OPRA(旧KAPS)試験と英語試験は、どちらから先に受験しても問題ありません。また、英語試験の結果は原則として 2 年間有効、OPRA(旧KAPS)試験の合格は 3 年間有効とされています。そのため、自身の状況に合わせて受験の順番やタイミングを考えることが重要になります。
※英語試験および OPRA(旧KAPS)試験に関する要件や有効期間は、制度変更や運用の見直しが行われる可能性があります。最新かつ正確な情報については、必ずAHPRAや公式機関の発表をご確認ください。



英語試験の選択肢(IELTS と PTE の違い)
AHPRA が認めている英語試験はいくつかありますが、私が実際に挑戦したのは IELTS と PTE Academic です。
そのため、この記事では、この2つの試験を中心に整理していきます。
IELTS(International English Language Testing System)
IELTS は、英語試験の中でも知名度が高く、受験経験者も多い試験です。
Listening / Reading / Writing / Speaking の4技能で構成されており、スピーキングは試験官との対面形式で行われます。
IELTS の特徴としては、次のような点が挙げられます。
- 教材や対策情報が非常に豊富
- 試験テクニックよりも、英語の基礎力や内容理解、論理的に伝える力が問われる試験
- スピーキングが対面のため、人によっては緊張しやすい
- 試験時間が PTE と比べて長い
一方で、採点に人が関わるため、結果にばらつきを感じることがある、という声を聞くこともあります。
PTE Academic(Pearson Test of English Academic)
PTE Academic は、すべてコンピューター上で完結する英語試験です。
スピーキングを含め、全てのパートをマイクと画面操作で進めていき、採点は AI によって行われます。※現在、一部の項目では採点に人が関わっています。
PTE の特徴としては、次のような点が挙げられます。
- 試験官との対面がなく、心理的な負担が少ない
- 結果が比較的早く返ってくる
- 発音や流暢さなど、一定の傾向を理解するとスコアを狙いやすい
- 試験時間が IELTS と比べて短い
ただし、問題形式や採点方法が独特なため、試験対策ではテンプレートや形式理解に加えて、どの設問がスコアに影響しやすいのかを把握することが重要になります。
IELTS と PTE、どちらが良いのか
結論として、どちらの試験が簡単かというよりも、自分に合っているかどうかが重要だと感じました。
例えば、
- 人と話す形式に抵抗がない → IELTS
- コンピューター相手のほうが落ち着く → PTE
- 王道の試験で進めたい → IELTS
- 結果を早く知りたい → PTE
といったように、性格や得意・不得意によって向き不向きがあります。
なお、本当は OET(Occupational English Test)に挑戦したいと考えていました。
医療従事者向けの英語試験であり、薬剤師にとっては内容的に親和性が高い試験だと感じていたからです。
しかし実際には、パースで OET の対策講座を見つけることができなかったこと、模試を受けてみたところリスニングが想像以上に難しかったこと、試験の開催頻度が少なかったこと、そして受験料が高額だったことなどから、最終的に OET での受験は断念しました。
このような理由から、現実的に受験・対策がしやすい IELTS と PTE Academic を中心に検討することになりました。
最終的に選んだ英語試験とその理由
最終的に選んだ英語試験は PTE Academic でした。
日本にいる頃は、まず IELTS 対策を通して英語の基礎力を身につけることを意識して勉強していました。パースに来てからも、3か月間語学学校にてIELTS 対策講座を受講しています。講座修了後に実際に試験を受けましたが、目標としていた IELTS 7.0 each には届きませんでした。(2025年3月に Writing に求められるスコアは 6.5 へ変更されています)
そのときに知ったのが PTE Academic です。PTE はオーストラリアに来てから初めて知った試験でしたが、比較的対策がしやすいこと、また IELTS よりもスコアを狙いやすいという話を聞き、PTE に挑戦してみることにしました。
英語試験対策にかけた期間
IELTS試験対策にかけた期間
IELTS の勉強を始めたのは、オーストラリアに行くことを決めた2022年3月でした。
最初の IELTS 試験を受験したのは2022年5月です。
このときのスコアは以下の通りでした。
- Listening:5.5
- Reading:5.5
- Writing:5.5
- Speaking:6.0
- Overall:5.5
当時は英語試験そのものが初めてに近い状態で、まずは IELTS を通して英語の基礎力を身につけることを目的に勉強していました。
勉強方法としては、主に市販の対策本と Road to IELTS のサイトを使った独学です。
週末は土日それぞれ3〜5時間程度、平日は仕事終わりに1〜2時間程度勉強していました。
問題形式に慣れることを意識しながら、各セクションをバランスよく学習しました。
Writing は添削を受け、Speaking は NativeCamp を利用して練習していました。
また、2022年11月にも再度 IELTS を受験しています。
そして 2024年1月から3か月間、IELTS対策講座を受講しました。
3か月間の対策講座に加え、多くの宿題と英語漬けの環境の中で学習し、1日あたり8〜10時間程度勉強していましたが、最終的に目標としていた IELTS 7.0 each に届くことはできませんでした。試験を受けたのは2024年5月です。
途中、継続して勉強できていなかった期間もあるため正確ではありませんが、初めて IELTS を受験してから約2年が経過していました。
PTE試験対策にかけた期間
その後、PTE Academicの存在を知り、試験を受けてみることにしました。
最初に PTE を受験したのは2024年8月です。試験に向けて、約3か月弱の勉強期間を設けました。
試験対策として使用していたのは APEUni というアプリです。
豊富な練習問題や Mock Test が用意されており、PTE を受験している方の多くが利用しているのではないかと思います。
2024年8月に受験した際のスコアは以下の通りでした。
- Listening:52
- Reading:59
- Writing:62
- Speaking:49
当時はPTE 65 eachが必要でしたが、1回目の試験では全く届かない結果となりました。
その後、OPRA(旧KAPS)試験 の準備に集中するため、一時的に PTE の勉強を中断しました。
再び PTE の勉強を再開したのは2024年12月です。
次の試験は2025年1月に受験しました。前回よりスコアは改善したものの、依然として目標スコアには届きませんでした。その後も受験を続け、合計6回の試験を経て、最終的に目標スコアを達成することができました。
最終段階の勉強方法としては、仕事のない日は Mock Test を2回受験し、残りの時間を練習問題に充てるという形でした。勉強時間は、仕事のない日で 1日あたりおよそ12時間前後、仕事のある日は Mock Test を1回+練習問題 に取り組んでいました。
最後に受験したのは 2025年5月です。
最初の試験を受けてから、約9か月が経過していました。
なお、PTE の試験内容や具体的な対策方法については、別の記事で詳しくまとめる予定です。
IELTS 対策の記事はこちら↓
試験対策で苦労した点・つまずいた点
英語試験対策を振り返ると、最も大きかったのは努力量と結果が必ずしも比例しないと感じた点です。
どちらの試験も一定期間集中的に勉強したからといって、スコアが簡単に伸びるものではありませんでした。
試験形式との相性
IELTS と PTE の両方を経験して感じたのは、英語力そのものだけでなく、試験形式との相性がスコアに大きく影響するという点です。
特に PTE では、問題形式や採点傾向を理解していないと、実力があってもスコアにつながりにくいと感じました。
また IELTS においても、出題される問題の内容や形式に向き・不向きがあると感じています。
継続することの難しさ
長期間にわたる試験対策の中で、常に同じモチベーションを保つことも簡単ではありませんでした。
KAPS(OPRA)試験との並行や、一時的に英語学習を中断せざるを得ない時期もあり、学習ペースの維持に苦労しました。
こうしたつまずきを通して感じたのは、英語試験は長期戦になりやすいということです。
試験結果だけで一喜一憂せず、自分に合った進め方を見つけることが重要だと感じました。
英語試験を終えて感じたこと(正直な感想)
英語試験を終えて率直に感じたのは、想像していた以上に時間も気力も必要だったということです。
試験対策は単なる勉強ではなく、結果が出ない期間をどう受け止め、続けていくかが問われるプロセスだったように思います。
また、英語力そのものだけでなく、試験形式や評価基準との相性が結果に大きく影響することも実感しました。
努力しているのにスコアに反映されない時期はつらく、途中で何度もやめたくなりました。
それでも振り返ってみると、IELTS で積み重ねた基礎力や、PTE での試行錯誤は、どれも無駄ではなかったと感じています。
結果にたどり着くまでに時間はかかりましたが、その過程そのものが今の自分を支えているように思います。
これから英語試験に挑戦する方には、最短ルートだけでなく、遠回りになる可能性も含めて計画することをおすすめしたいです。
そして、難しいことではありますが、勉強を楽しむことも大切だと感じました。
苦手意識があったり、「自分にはできない」と後ろ向きになっているときよりも、自分の力とこれまで積み重ねてきた努力を信じて試験に臨んだときのほうが、結果は良かったように思います。
英語試験は簡単ではありませんが、諦めずに続けていけば、必ず前に進んでいると感じられる瞬間が来ると思います。
これから挑戦される方を、心から応援しています。





