夫婦でパースに留学中の私が、日本の薬剤師資格を活かしてオーストラリアで薬剤師登録を目指すまでの道のりをご紹介します。
オーストラリアで薬剤師になるには、大学に入り直さないといけないと思っている方も多いのではないでしょうか。私自身、最初はそう考えていました。しかし実は、日本で取得した薬剤師免許を活かして、書き換えるルートが存在するのです。
その第一歩が「OPRA(旧KAPS)試験」。
聞き慣れないこの試験、実はオーストラリアで薬剤師になるためには避けて通れない、最初の大きなハードルです。
※以前「KAPS試験」と呼ばれていた Knowledge Assessment of Pharmaceutical Sciences は、2025年3月から OPRA™︎(Overseas Pharmacist Readiness Assessment)試験に完全移行しています。
この記事では、私の体験をもとに「OPRAってなに?」「誰が受けるの?」「どんな試験?」「試験までの道のりは?」といった基本情報を、これから挑戦する方に向けてわかりやすくまとめました。
英語力、費用、勉強時間など、不安なことも多いと思います。だからこそ、実際に進んでいる私のリアルな視点で解説していきます。
この記事がおすすめな人
- オーストラリアで薬剤師として働きたいと考えている方
- OPRA(旧KAPS)試験について最新情報から知りたい方
- OPRA(旧KAPS)試験準備の流れや計画を知りたい方
- 経験者視点の信頼できる情報を求めている方
目次
- はじめに:OPRA試験とは何か?KAPS試験からの変更点について
- 受験資格と申請の流れ
- 試験の内容と出題形式
- 合格基準と難易度の目安
- 試験日程と実施場所について
- 受験にかかる費用と支払い方法
- 合格後のステップと次の準備
- まとめ:OPRA(旧KAPS)試験はオーストラリア薬剤師への第一歩
はじめに:OPRA試験とは何か?KAPS試験からの変更点について
OPRA(旧KAPS)試験は、オーストラリアで薬剤師登録を目指すために必要な薬学的知識と臨床判断力が備わっているかどうかを評価する試験です。年に3回行われています。
2025年3月以降、従来のKAPS試験(Knowledge Assessment of Pharmaceutical Sciences)は廃止され、OPRA試験(Overseas Pharmacist Readiness Assessment)に移行しました。
旧KAPS試験は2部構成で合計200問、約4時間かけて実施される長時間の試験でした。問題数が多く、集中力の維持が大きな負担でした。
一方、新しいOPRA試験では、問題数が120問に減り、試験時間も150分(2時間30分)に短縮されました。さらに、基礎薬学中心の内容から、臨床判断・治療学・患者ケアを重視する問題へとシフトしています。
OPRA試験は年に3回実施され、海外薬剤師がオーストラリアでの登録を目指すための第一関門となっています。
受験資格と申請の流れ
OPRA(旧KAPS)試験を受けるには、まずオーストラリア薬剤師会議(APC: Australian Pharmacy Council)による書類審査に合格する必要があります。これは、日本の薬剤師が「オーストラリアで薬剤師登録に進むための知識と学歴を持っているか」を判断するためのステップです。APCの公式サイトはとてもわかりやすく、自分がどの段階にいるのか、これから何をすれば良いのかが明確に示されています。

(APC公式サイトより)
受験資格について
OPRA(旧KAPS)試験の対象となるのは、海外で薬剤師資格を取得している人です。日本の薬剤師免許もこの対象に含まれます。ただし、薬学部の教育課程がAPCの基準を満たしているかが重要になります。
日本では、6年制薬学部(2006年度以降に導入)を卒業していることが基本的な条件です。4年制卒業者の場合は、追加の学歴や実務経験が求められるケースもあると聞いていましたが、私の場合(4年制卒業者)でも特別な追加書類を求められることなく審査を通過できました。
申請の流れ
受験の第一ステップは、APCへのスキルアセスメント(Skills Assessment)申請です。私は以下のような書類を準備しました。
- パスポートのコピー
- 日本の運転免許証(英訳付き)
- 日本の薬剤師免許証(英訳付き)
- 薬学部の卒業証明書(英訳付き)
- 薬剤部の成績証明書(英訳付き)
- 英文の職務経歴書(※現在は職務経験の書類は受け付けていません)
- 結婚証明書
- 戸籍謄本(英訳付き)
◆NATTI翻訳
これらの書類(パスポートを除く)はすべて英語翻訳が必要で、NAATI(オーストラリア認定翻訳者)による翻訳が必須です。他の翻訳者によるものは認められないため、必ずNAATI翻訳で準備してください。
パスポートのスキャン方法にも細かい規定があるので、APCポータル内の「Documents」セクションをよく読んだうえで、正しい形式で必要な書類を揃えることを強くおすすめします。
◆氏名が変わっている場合
また、結婚などにより氏名が変更されている場合は、その変更を証明する書類の提出も必要です。日本人の場合は「戸籍謄本(英訳付き)」を用意しておくとスムーズです。氏名の一貫性を確認するために、パスポートや卒業証明書などに記載された名前と現在の氏名が異なる方は、あらかじめ準備しておくことをおすすめします。
申請は、APCの公式ウェブサイトにあるポータルからオンラインで行います。Candidate Portalからアカウントを作成し、必要書類をアップロードして提出します。審査には通常4週間程度かかることが多く、さらに試験の8週間前までにスキルアセスメントが完了していることが推奨されています。
試験の内容と出題形式
OPRA試験は、オーストラリアで薬剤師登録を目指すために必要な薬学的知識と臨床判断力が備わっているかどうかを評価する試験です。以前実施されていたKAPS試験(200問・2部構成)と比べて、形式も内容も見直され、より実践的なスキルが重視される試験へと変化しています。
試験の出題形式
OPRA試験は、以下のような形式で行われます。
- 問題数:全120問
- 試験時間:150分(2時間30分)
- 形式:コンピュータベーステスト(CBT)・選択式
- 言語:すべて英語
試験の内容
| Content area(試験内容) | Percentage of questions allocated(試験配分) |
| Biomedical sciences(生物医学系基礎科学) | 20% |
| Medicinal chemistry and biopharmaceutic (医薬品化学・生物薬剤学) | 10% |
| Pharmacokinetics and pharmacodynamics (薬物動態学・薬力学) | 10% |
| Pharmacology and toxicology(薬理学・毒性学) | 15% |
| Therapeutics and patient car(治療学・患者ケア) | 45% |
このように、治療学・患者ケアの比重が非常に高いため、臨床的な判断力や患者対応の理解が特に重要となります。
合格基準と難易度の目安
スコアリング
OPRA試験では、KAPS試験のように各セクションで50%取れたら合格という仕組みではありません。
採点には「Raschモデル(ラッシュモデル)」という統計的な手法が使われており、問題の難易度と受験者の実力のバランスに基づいて合否が決まる仕組みになっています。
「何問正解したか」ではなく、「どの問題を正解したか」がスコアに大きく影響するというのが特徴です。
また、OPRA試験の全120問のうち、約90%(108問)が実際にスコアに影響する「採点対象問題(scored questions)」です。残りの10%(12問程度)は「採点されないダミー問題(unscored questions)」で、今後の試験問題の分析や統計処理に使われるために含まれています。
重要なのは、どの問題がスコア対象かは表示されないという点です。すべての問題が同じように出題されるため、最初から最後まで全力で取り組むことが非常に重要です。
難易度の目安
個人差はありますが、内容は基礎薬学に加えて、臨床判断力や患者ケアに関する出題が非常に重視されている印象です。問題文が長く、英語の読解力も求められるため、英語での医療的なやりとりに慣れていないと難しく感じることもあると思います。
合格ラインは非公開ですが、目安としては全体で70%程度の正答率が必要と言われることもあります(※あくまで参考レベルです)。
試験日程と実施場所について
試験日程について
試験は例年、3月・7月・11月頃に実施されます。
日程は事前に発表され、試験申し込み期間も数週間設けられますが、席数には限りがあるため、早めの申込みが安心です。
試験日は全国一斉ではなく、受験者ごとに3日間の中から1日選択するスタイルになっており、希望日に空きがあれば予約できます。私自身も早めに予約することで、希望日に受験できました。
試験実施場所について
試験はオーストラリア国内にある認定テストセンター(例:シドニー、メルボルン、パース、ブリスベンなど)、もしくは一部の海外拠点(例:ニュージーランド、シンガポール、タイ、マレーシアなど)で受けることができます。
ただし、2025年時点では、日本国内での実施は行われていません。
私の場合はオーストラリア・パースのテストセンターで受験しました。
受験にかかる費用と支払い方法
OPRA試験を受けるには、スキルアセスメントと試験本番と証明書の発行と3段階で費用がかかります(2025年現在)。
いずれもオーストラリア薬剤師会議(APC)のポータルからオンラインで支払う形式です。
| 項目 | 費用(AU$) | 支払タイミング |
|---|---|---|
| Eligibility Check (適格性審査) | 810 | 書類審査時に支払い |
| OPRA Exam Fees (試験受験料) | 2,190 | 受験資格通知後に支払い |
| Skills Assessment Outcome(合格後の証明書) | 300 | 合格後、必要に応じて申請 |
1回のテストが約20万円以上かかることもあり、正直かなりプレッシャーがかかりました。
合格後のステップと次の準備
OPRA試験に合格すると、APC(Australian Pharmacy Council)から合格通知(outcome letter)が発行されます。このレターは、次のステップであるInternship(薬剤師実務研修)やVISA申請などに必要となる重要な書類です。
合格後の主なステップ
1. 英語力証明
IELTS(Academic):Overall 7(Listening/Reading/Speaking各7.0、Writingは6.5)
OET:(Listening/Reading/Speaking各B(350点以上)、WritingはC+)
PTE Academic:Overall 66(Listening/Reading/Speaking各66、Writingは56)
TOEFL iBT:minimum score 94(Listening/Reading/Speaking /Writing 各24、Speakingは23)
Cambridge(C1 Advanced or C2 Proficiency) :minimum score 185 (Listening/Reading/Speaking各185、Writingは176)
※英語スコアの提出にはいくつかの注意点があります。
- 有効期限:いずれの英語試験スコアも、提出時点で2年以内のものが必要です。
- 試験の組み合わせ:特定の条件を満たせば、2回の試験結果を組み合わせて使うことが可能な場合もあります。
- 基準の変更:採点基準や必要スコアは変更されることがあります。そのため、試験を受ける前に必ずAHPRAの公式ウェブサイトや各試験機関の最新情報を確認してください。
私はPTEスコアを提出しました。
2. 研修先(internship placement)の確保
オーストラリアでの薬剤師登録には、Intern Pharmacistとして1年間の研修が必要です。病院薬局、調剤薬局などでの就職活動をスタートします。州によって募集時期や条件が異なるため、事前に調査しておくことをおすすめします。
3. AHPRA(オーストラリア保健従事者規制庁)への登録申請
Internとしての勤務を始めるには、AHPRAへの仮登録(Provisional Registration)が必要です。身分証明や無犯罪証明書などの書類提出が求められます。登録されるまでに3ヶ月程度かかります。
4. 移民・ビザの確認
学生ビザやワーキングホリデーからの切り替えが必要になるケースもあります。485卒業ビザや雇用主スポンサーなど、個々の状況に合わせて移民プランを考える必要があります。
まとめ:OPRA(旧KAPS)試験はオーストラリア薬剤師への第一歩
OPRA(旧KAPS)試験は、日本で薬剤師資格を持つ方がオーストラリアで薬剤師登録を目指すうえでの大きな関門です。2025年にKAPS試験から移行し、より臨床的な実践力や判断力が求められる形式に進化しました。
試験形式の変化、申請手続き、費用、合格後のステップなど、最初は不安も多いかもしれません。ですが、一つ一つ準備を重ねれば、確実に前へ進める道です。
私自身もまだ道の途中ですが、この記事がこれから挑戦する方にとって、少しでも安心材料や道しるべになれば嬉しいです。
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